特集 病気の分子細胞生物学
12.眼疾患
格子状角膜ジストロフィー
堀田 喜裕
1
Yoshihiro Hotta
1
1順天堂大学医学部眼科
pp.490-491
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901775
- 有料閲覧
- 文献概要
[疾患概略]
角膜ジストロフィーは遺伝性に角膜に混濁をきたす疾患で,これまでは主にその混濁の様子によって,格子状,顆粒状,膠様滴状というように分類されてきた。また,混濁の深さによって上皮,実質,内皮というように分類されることもある。また,こうした分類に基づいて病理学的にも検索が行われてきた。
格子状角膜ジストロフィーはその名のように格子状の混濁が観察される角膜ジストロフィーで,混濁の深さからは実質性角膜ジストロフィーに分類され,病理学的にはアミロイドの沈着を認める。格子状角膜ジストロフィーは3型に分類されている。1型は幼少時より線状,糸状の混濁が生じ,充血や眼痛などで受診し,壮年期に視力障害をひきおこし,角膜移植が必要になる。図1に格子状角膜ジストロフィー1型の61歳女性の前眼部写真を示す。2型は家族性アミロイドニューロパチーの4型に合併してみられ,全身にアミロイドの沈着を認める。フィンランド人に多くみられるという。3型は常染色体劣性遺伝で,1型とは異なるやや太めの線状混濁がみられるが,常染色体優性遺伝を示す3A型がまれであるが存在する。また,格子状の混濁に顆粒状の混濁の合併するAvellino角膜ジストロフィーの報告がある。
Copyright © 1999, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.