特集 病気の分子細胞生物学
6.生殖器疾患
性分化異常
柳瀬 敏彦
1
,
名和田 新
1
Toshihiko Yanase
1
,
Hajime Nawata
1
1九州大学医学部第三内科
pp.426-428
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901750
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[疾患背景]
生殖腺の発生過程は,1)未分化生殖腺期,2)性決定期,3)内外生殖器形成期の三段階に大別される(図1)。ヒト胎児ではY染色体短腕の精巣決定因子(SRY)により,まず未分化性腺原基が精巣に誘導される。胎児は内,外性器原基を有し,ウオルフ管は精巣上体,精管,精嚢に,ミュラー管は卵管,膣上部へと分化する。男性では,胎児精嚢より分泌されるテストステロン(T)が,直接ウオルフ管に作用して分化を促す。その一方で,胎児精巣セルトリ細胞からは,ミュラー管抑制因子(MIS)が分泌され,ミュラー管は退縮していく。外性器の分化は,Tから5α-還元酵素により転換したジヒドロテストステロン(DHT)が,男性では泌尿生殖洞を前立腺,尿道へ,生殖隆起を陰茎,陰嚢へと誘導する。本稿では上記1),2),3)の各過程に関与する性分化関連因子とその異常により引き起こされる病態を解説する1-3)。
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