特集 病気の分子細胞生物学
1.筋・神経・精神疾患
サルコグリカノパチー
小沢 鍈二郎
1
Eijiro Ozawa
1
1国立精神・神経センター神経研究所
pp.347-348
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901718
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[疾患概略]
Sarcoglycanopathy(SGP)は常染色体劣性遺伝をする。Duchenne筋ジストロフィー(DMD,本誌344頁参照)よりやや軽症であるが,類似の症状と経過をとる疾患である。発症は3~12歳。ころびやすい,階段に昇れないことなどから受診し,上下肢帯筋や腹筋などの萎縮を主体とする症状がある。血清creatine kinase(SCK)は非常な高値を示す。萎縮が進行して,やがて車イス生活となる。病気は常に進行性であり,病床生活を経て死に至る。死亡時期はかなり幅があり,20歳代から中年に至る。同一遺伝子異常である家族内で個々の患者の症状の進行にバラツキがある。疾病研究の歴史は19世紀に遡るが,明確な記載は1958年のKloepferとTallyの論文からである。その後この疾病はSCARMDと呼ばれ,分類も肢帯型筋ジストロフィーに属するとされたり,しないとされたりした。著者はSGPとDMDとは一緒にまとめるべきであると考えている。
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