特集 現代医学・生物学の仮説・学説
7.疾病
筋ジストロフィー
小沢 鍈二郎
1
1国立精神・神経センター神経研究所機能研究部
pp.600-601
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900660
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概説
筋ジストロフィー(筋ジス)は約130年前に記載された骨格筋の進行性の変性萎縮をきたす疾患である。筋ジスとは,その遺伝形式,性差,好発部位,経過,臨床症状,検査所見などによって大まかに数種,細かくは20種をこえる疾患の集合名詞である。
その中で最も頻度が高く(約2/3),激症のものにDuchenne型筋ジス(DMD)があり,その軽症型にBecker型筋ジス(BMD)がある。DMDは2~3歳頃に走れない,転びやすいなどの症状で気づかれるが,その後運動障害は進行性で,12歳頃までに車椅子生活となり,やがてベッド生活になり,20歳を少し過ぎた頃に呼吸不全または心不全で死亡する。BMDの症状はDMDと同じであるが経過はずっと緩慢である。これらの患者は原則として男子であり,X連鎖性劣性の遺伝形式を取る。
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