Japanese
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特集 セロトニンと循環器疾患
セロトニンと血小板
Serortonin and Platelets
冨山 佳昭
1
Yoshiaki Tomiyama
1
1大阪大学大学院医学系研究科分子制御内科学
1Department of Internal Medicine and Molecular Science, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.551-555
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902479
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はじめに
トリプトファンから合成されるセロトニン(5—ハイドロキシトリプタミン,5—HT)は血管作動物質として知られているが,血小板においてはADPなどと同じく血小板内の濃染顆粒内に存在し,血小板活性化に伴い血小板から放出される.トリプトファンをセロトニンに変えるdecarbox—ylaseは腸管,脳などに証明されるが,血小板にはこの酵素はないため血小板が外部のセロトニンを取り込み濃染顆粒内に蓄積すると考えられている.放出されたセロトニンは血小板凝集の亢進,血管平滑筋の収縮,血管透過性の亢進などを引き起こすと考えられる.セロトニンは血小板に対する“weak”アゴニストであり,それ自体の血小板凝集作用は弱く僅かに一過性の凝集を誘導する程度であるが,ADPやトロンビンなどと相乗作用を有し,これらのアゴニストにより惹起される血小板凝集を著明に増強させる.
本稿では,はじめに病的血栓形成における血小板の役割を概説するとともに,セロトニンの役割につき考察する.
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