増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
内分泌機能検査
164.セロトニン
中井 利昭
1
1筑波大学臨床医学系・臨床病理学
pp.2030-2031
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222853
- 有料閲覧
- 文献概要
セロトニンの生体内分布は約90%が消化管に存在し,残りが血小板と脳に分布し,ほかの組織には極めてわずかである.セロトニンの作用としては,①血管や気管支などの平滑筋収縮,②消化管の分泌,運動の調節,③血小板凝集促進,④知覚,睡眠,精神行動,性行動への関与(この作用は中枢神経系セロトニン・ニューロンを介して)など,多彩な作用が知られている.
セロトニンは図のようにトリプトファンより,トリプトファンハイドロキシラーゼにより5-ハイドロキシトリプトファン(5-HTP)となり,芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素によりセロトニン(5-ハイドロキシトリプタミン)となる.セロトニンの代謝についてはMAO(モノアミンオキシダーゼ)によって脱アミノされ,5-ハイドロキシインドールアルデヒドを生成する.5-ハイドロキシインドールアルデヒドは,NAD+を補酵素とするアルデヒドデハイドロゲナーゼにより酸化され5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA)となるが,一部はNADHを補酵素とするアルコールデハイドロゲナーゼの働きによって5-ハイドロキシトリプトホールヘ代謝されていく.5-HIAAと5-ハイドロキシトリプトホールの尿中排泄は前者が90%を占め,後者はわずか2〜3%に過ぎない.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.