特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅲ.トランスミッターの放出・取り込みに作用する薬物
アデノシン
秦 順一
1
,
賀来 智宏
1
Junichi Hada
1
,
Tomohiro Kaku
1
1兵庫医科大学第二生理学教室
pp.445-447
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901633
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中枢神経系ではアデノシンは生理的条件下では神経伝達を修飾し,病理的条件下では多量に遊離され,神経保護作用をもつ1-3)。
細胞内ではアデノシンは5'-ヌクレオチダーゼによって5'-AMPが脱リン酸化されて産生される(図1)3-5)。また,S-アデノシルホモシステイン(SAH)からSAHヒドラーゼにより,アデノシンは産生される。アデノシンはアデノシンキナーゼ(ADK)によってリン酸化されて5'-AMPとなるか,あるいはアデノシンデアミナーゼ(ADA)によって脱アミノ化されてイノシンに分解される。アデノシンはアデノシントランスポーターによって細胞外に遊離される。また,補助伝達物質としてATPはエキソサイトーシスにより他の伝達物質と共に遊離される。ADKはラットやヒト脳では均等に分布しているのに対して,ADAはラット脳では不均等に分布している。ADAはオリゴデンドログリアや内皮細胞に多く存在するが,ニューロンにもある。細胞外ではエクト-5'-ヌクレオチダーゼによって5'-AMPが脱リン酸化されて,アデノシンは産生される。エクト酵素であるADAによりイノシン,ヒポキサンチンに分解される。
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