特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
2)ペプチド受容体
レプチン受容体
村上 尚
1
,
島 健二
1
Takashi Murakami
1
,
Kenji Shima
1
1徳島大学医学部臨床検査医学講座
pp.405-406
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901621
- 有料閲覧
- 文献概要
レプチンは146アミノ酸からなり,脂肪細胞から分泌される摂食抑制因子(満腹シグナル因子)であるが1),これ以外に交感神経活性化などの多彩な作用を持つことも明らかになっている2,3)。体脂肪量が増加すると血中レプチン濃度が上昇し4,5),結果として摂食が抑制され6-8),摂取エネルギー量が減少するのと同時に,交感神経系の活動の亢進によってエネルギー放出量が増加し,体脂肪量減少傾向へと向かう9)。一方,体脂肪量が減少すると血中レプチン濃度が低下し,熱産生が低下する。また,過度の“やせ”となり血中レプチン濃度が非常に低くなると,生殖能など生きることに必須ではない種々のエネルギーを使わないように適応する10)。レプチンと同一の活性を示すアゴニストおよびその作用に拮抗するアンタゴニストは,合成化合物の中では見出されていないが,このレプチンの生物活性に,レプチンに1ヵ所存在するS-S結合が重要であることが示唆されている11)。また,128番アミノ酸アルギニンをグルタミンに置換したヒトレプチンが,アンタゴニストとしての作用を持つことが報告されている12)。
レプチン受容体(OB-R)はG-CSF受容体,LIF受容体,gp 130,GH受容体,プロラクチン受容体などを含むⅠ型サイトカイン受容体ファミリーに属し,N末端が細胞外に存在し,膜を1回貫通する糖蛋白質である13-15)。
Copyright © 1998, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.