特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
2)ペプチド受容体
ニューロテンシン受容体
遠山 正彌
1
Masaya Tohyama
1
1大阪大学大学院医学系研究科機能形態学講座
pp.403-404
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901620
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ニューロテンシン(NT)は1973年にCarraway & Leemanによりウシ視床下部より分離されたペプチドで,13個のアミノ酸よりなる。NTは類似ペプチドであるニューロメジンN,ニューロメジンN様ペプチドと同一の遺伝子によりコードされている。NTの神経系における役割はよくわかっていない。NTの中枢性作用としては黒質一線条体ドーパミンシステムの調節(ドーパミンの代謝回転や遊離の促進),侵害刺激伝達の抑制,低体温をもたらすこと,ノルアドレナリンやダイノルフィン投与により引き起こされる摂食行動の抑制などが知られている1,2)。末梢作用としては血管拡張に伴う降圧,回腸の収縮,十二指腸の拡張,胃酸分泌の抑制,血糖上昇(血中のグルコースやグルカゴンの上昇,インスリン低下),ACTH,FSH,LHの分泌促進作用が報告されている1,2)。NT8-13がNT作用の発揮に重要である。
NT受容体は現在のところ高親和性受容体と低親和性受容体の2種が存在する1,2)。高親和性受容体のKdは1nM以下(O.13nM)であり,低親和性受容体のKdは1nM以上である(2.4nM)。高親和性受容体は424アミノ酸よりなるG蛋白共役型膜7回貫通型受容体である。IP3/DGシステムを介して,細胞内カルシウムイオン濃度とPKC活性を調節する。
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