Japanese
English
連載講座 個体の生と死・6
初期発生:卵割から胚葉形成まで
Early embryonic development: From cleavage to the formation of germ layers
大谷 浩
1
Hiroki Otani
1
1島根医科大学解剖学第一講座
pp.54-60
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901544
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受精(fertilization)により受精卵:接合子(zygote)が形成されると,単細胞生物でない限り,引き続いて起こる細胞分裂により,多細胞からなる成体への長い発生過程の道のりが始まる。発生の最も初期に起こる細胞分裂は,成体における一般的な細胞分裂とは異なるいくつかの特徴を持っている。動物個体中で最大の細胞体を持つ受精卵は,卵割(cleavage)と呼ばれる,この一連の急速で特徴的な細胞分裂により,おびただしい数のより小さな細胞:割球(blastomere)へと次々に分割されていく。
その後の発生過程の様子には動物種により大きな差があるが,哺乳類を含む多くの動物では,割球からなる胚の中に胞胚腔(blastocoel)が形成され(胞胚blastula,哺乳類では胚盤胞blastocyst),さらに原始外胚葉:胚盤葉上層(primitive ectoderm;epiblast)と原始内胚葉:胚盤葉下層(primitive endoderm;hypoblast)の2層の胚葉が,ついでその2層の間に中胚葉(mesoderm)が分化する。
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