特集 受容体1997
Ⅲ.酵素活性内蔵型受容体
酵素活性内蔵型受容体
的崎 尚
1
,
春日 雅人
1
Takashi Matozaki
1
,
Masato Kasuga
1
1神戸大学医学部第二内科
pp.486-488
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901257
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酵素活性内蔵型受容体は,その受容体の有する酵素作用からおおむね五つのグループに分類される。すなわち,1)受容体型チロシンキナーゼ,2)受容体型チロシンホスファターゼ,3)受容体型セリン/スレオニンキナーゼ,4)受容体型グアニルシクラーゼ,および5)として多くのサイトカイン受容体に見られるように,それ自身は酵素活性を内蔵しないがチロシンキナーゼ活性などを有するシグナル分子を結合する会合型とも呼ぶべき受容体があげられる(表1)。
受容体型チロシンキナーゼの多くは,血小板成長因子(platelet-derived growth factor;PDGF),上皮成長因子(epidermal growth factor;EGF),インスリン,インスリン様成長因子-I(insulin-like growth factor;IGF-I),血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)などの多くの増殖因子の受容体であり,それらの細胞内ドメインはチロシン特異的蛋白キナーゼ活性を有している1)。すなわち,この酵素はATPを基質として,ある特定のチロシン残基にリン酸基を転移させる。受容体型チロシンキナーゼの細胞外部分は,様々な糖鎖による修飾を受けた上に,構造的に各受容体型チロシンキナーゼ毎で特徴的な構造を有している。
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