Japanese
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特集 脂肪組織
脂肪細胞のホルモン受容体—インスリン受容体を中心に
Hormone receptors in adipocytes
門脇 孝
1
,
春日 雅人
1
,
赤沼 安夫
1
Takashi Kadowaki
1
,
Masato Kasuga
1
,
Yasuo Akanuma
1
1東京大学医学部第三内科
pp.580-593
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904814
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古くより脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫とみなされ,食物から供給される糖質を中性脂肪という水分を含まない高密度の形でエネルギーとして貯えている。とくに飢餓時には,脂肪分解によって遊離した脂肪酸は,ブドウ糖に代って生体にエネルギーを供給する。脂肪細胞の代謝はホルモンによって巧妙に調節されていることが知られている。とくに,ラット脂肪組織はインスリンに対する感受性が高く,また脂肪動員ホルモンであるカテコラミン,グルカゴン,ACTHなどにも鋭敏に反応する。脂肪細胞のホルモンによる調節に関する研究がこの十数年飛躍的に進歩したのは,Rodbellによる遊離脂肪細胞系の開発によるところが大きい1)。その後,モデルシステムとして3T3 L1脂肪細胞2,3)や,最近ではラット脂肪細胞初代培養4)なども用いられるようになり,脂肪細胞の系は現在でも各種ホルモン受容体とホルモン作用の研究,また糖代謝,脂質代謝の研究に広く応用されている。これは,糖尿病,肥満などヒトの代謝異常の解明にもつながるものと考えられる。
本小論では,はじめに脂肪細胞の代謝特性とホルモンによる調節を概観した後,脂肪細胞のホルモン受容体の中でももっとも研究の進歩の著しい,インスリン受容体とカテコラミン受容体の構造と機能について解説し,最後にホルモン受容体以降の情報伝達系についてインスリンの作用機序を中心に述べてみたい。
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