特集 受容体1997
Ⅱ.Gタンパク質共役型受容体
4.ケモカイン受容体
ケモカイン受容体
原田 明久
1
,
松島 綱治
2
Akihisa Harada
1
,
Kouji Matsushima
2
1金沢大学医学部衛生学教室
2東京大学医学部衛生学教室
pp.479-484
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901256
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1987年,吉村・松島らにより,リポ多糖体(lipopolysaccharide;LPS)刺激ヒト末梢血単球培養上清から好中球の走化能を亢進させる因子としてインターロイキン8(interleukin-8;IL-8)が精製1),cDNAクローニング2)され,新しい走化性サイトカインの研究分野の幕開けとなった。この因子は保存された位置に四つのシステイン残基を持ち,1番目と3番目,2番目と4番目のシステイン残基がそれぞれS-S結合で結ばれる構造を取っている。この分子の発見を契機として分子量8-10kDaの塩基性ヘパリン結合性ポリペプチドで,分子内に四つのCysteine(C)残基が存在し,アミノ酸配列上20-50%の相同性を持つ遺伝子が数多く報告され,現在その数は25を越えている(図1)。これらの遺伝子のコードする蛋白の多くは,特定の種類の白血球に対して走化性を示し,この走化能(chemotaxis)を調節するサイトカイン(cytokine)であることから,ケモカイン(chemokine)と呼んでいる。ケモカインは,四つのシステインの位置が保存されている構造上の類似性と染色体上の遺伝子座のクラスターから,スーパーファミリーを形成することがわかっている。
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