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特集 染色体
顕微鏡トモグラフィによる間期染色体の3次元観察
Microtomographic observations on 3-D structure of interphase chromosome
杉原 洋行
1,2
,
高松 哲郎
2
,
藤田 晢也
2
Hiroyuki Sugihara
1,2
,
Tetsuro Takamatsu
2
,
Setsuya Fujita
2
1京都府立医科大学病院病理部
2京都府立医科大学第二病理学教室
pp.221-225
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900729
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分裂期にみられる染色体はDNAが幾重にもコイルして高密度に折りたたまれたものである。間期ではコイルが巻き戻り,染色体としての構造は見えなくなる。しかし間期でも,特定の染色体に対応するDNAは染色体ごとに限局して分布しているのである。このことは,最も直接的には,特定の染色体をペイントするライブラリープローブを用いたfluorescence in situ hybridization(FISH)によって明らかにされた1-4)。さらにこのFISHに染色体のさまざまな部分を認識する多様なプローブを用いることによって,特定の染色体の特定の部分に対応するDNAを間期核で可視化できるようになってきた。これによって,染色体の数や構造の情報のみならず,染色体が核内で相互にどのような位置関係にあるのか,また染色体構成の異なる腫瘍細胞がどのように組織内に分布しているか,といった染色体変化に関する種々のレベルでの位置情報も扱うことが可能になってきた。さらにこの方法では培養の必要がないので,非増殖細胞も含んだ腫瘍の細胞構成を保ったまま染色体情報を得ることができる。原理的には顕微鏡的に発見される微小癌にまで染色体分析の対象が広がるのである。古典的な染色体分析の限界を補うこの新しい研究分野は,間期核細胞遺伝学(interphase cytogenetics)5,6)と呼ばれている。
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