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実験講座
近赤外光による脳内酸素モニタリング
Cerebral oxygen monitoring by near infrared spectroscopy
成瀬 寛夫
1
,
住本 和博
1
,
寺尾 俊彦
1
Hiroo Naruse
1
,
Kazuhiro Sumimoto
1
,
Toshihiko Terao
1
1浜松医科大学産婦人科学教室
pp.196-202
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900724
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脳は低酸素や虚血に対して非常に弱い臓器である。胎児,新生児期の低酸素性虚血性脳症は脳性麻痺の大きな原因の1つであり,児のその後の人生に大きくかかわる。また,循環停止を必要とする心血管系手術も多用される傾向にあり,低酸素および虚血に起因する中枢神経系後遺症も見逃せない。これらの予防のためにも,脳に酸素が十分供給されているかどうかをモニタリングする意義は大きい。
血中の酸素濃度を直接測定することができればよいが,とくに胎児や新生児では頻回な採血自体が生命への危機となりうる。それゆえ,従来よりパルスオキシメータなど非侵襲的な方法が考案されてきた。近年,脳内酸素状態をとらえる機器として近赤外光酸素モニター(Near Infrared Spectroscopy,以下NIRS)が開発され,ベッドサイドにおける非侵襲的な脳内酸素動態の連続的観察が可能となり,本邦でも新生児および麻酔領域での報告がみられるようになってきた。本稿ではNIRS全般について解説するとともに,新生児領域,および最近われわれが始めた分娩時胎児におけるモニタリングについても紹介する。
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