特集 現代医学・生物学の仮説・学説
5.神経科学
注意
三上 章允
1
1京都大学霊長類研究所行動神経研究部門
pp.556-557
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900642
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概説
心理学においては,同時に存在するいくつかの認知や思考の対象のうち1つに意識の焦点を合わせ,それを明瞭にとらえることを「注意」と定義している(Willam James,1891)。われわれを取りまく環境の物理的要素は多種多様であり,しかも刻々と変化している。このような環境の物理条件の変化は,感覚系によってたえず受容されている。しかし,それらのうちで意識にのぼるのはほんの一部である。注意はこのような多くの情報から必要な情報を選択する過程にかかわっており,そのためしばしば選択的注意selective attention,あるいは焦中的注意focal attentionとよばれることもある。ここではまず,選択的注意についての心理学者の仮説をいくつか紹介し,生理学の立場からその問題点を指摘しよう。
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