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I.背景
側頭葉の中央を前後に走る長い溝(上側頭溝,superior temporal sulcus,STS)をはさんで下方には,視覚性の機能をもつ連合野が広がっている(図17)。サルで下部側頭連合野(下側頭回)と呼ばれるこの領域を両側性に破壊すると,視覚の弁別障害を引き起こす10,24)。このときの障害は,視覚性のみで他の感覚モダリティーは正常に保たれている。また,明滅刺激の融合周波数,細かい縞模様の知覚の閾値,パターン弁別のできる明るさの閾値,視野などの視覚の基本的機能も正常に保たれている。1950年代から1960年代にかけて行われた破壊実験の結果は,下部側頭連合野は視覚弁別を行う際の,視覚情報の統合,弁別刺激に対する選択的な注意,弁別刺激の短期記憶,弁別刺激と報酬との連合形成,報酬と連合した特定の弁別刺激の長期記憶,弁別刺激の範疇化などにかかわっている可能性を示した。しかし,その詳細の解明には,ニューロン活動の解析を待たなければならなかった。
サルの側頭連合野からのニューロン活動記録にはじめてチャレンジしたのは,当時ハーバード大学の心理学教室にいたC.G.Grossであった9)。彼らは,ハロセン麻酔下のサルの下部側頭連合野へ電極を刺入し,サルやヒトの手の形にもっとも強く反応するニューロンを見つけた。
Object recognition is severely impaired in monkeys that receive surgical lesions of the inferotemporal cortex (IT). Neurons in the IT show activities during presentation of complex objects. These data suggest that the IT is involved in the visual recognition of complex forms. We started our studies to examine the stimulus selective properties of the IT and the amygdala (AMY) which receives inputs from the IT. We also examined the effects of behavioral conditions, such as attention and memory.
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