特集 現代医学・生物学の仮説・学説
3.発生・分化・老化
組織分化:筋誘導
朝倉 淳
1
,
藤沢 淳子
1
,
鍋島 陽一
1
1国立精神・神経センター神経研究所遺伝子工学研究部
pp.498-499
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900622
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概説
脊椎動物の胚発生において,骨格筋細胞は中胚葉の体節の筋節に由来する。筋細胞に分化することが決定された筋芽細胞(myoblast)は,増殖をくり返した後に,骨格筋特異的な遺伝子を発現し(生化学的分化),互いに融合した後,多核の筋管細胞(myotube)を形成し(最終分化),さらに筋管細胞は横紋構造を有する筋線維に成熟し収縮を開始する。Taylorらは,マウス胚由来のC3H10T1/2細胞を脱メチル化試薬である5-azacytidineで処理したところ,筋管細胞,脂肪細胞,および軟骨細胞に分化することを発見した。1987年にDavisらは筋芽細胞で特異的に発現している遺伝子をサブトラクションハイブリダィゼーション法を用いてクローニングし,10T1/2細胞に導入したところ,骨格筋細胞に形質転換することのできるcDNAが得られ,Myo Dと名付けた。その後,myogenin,Myf 5,MRF 4がクローニングされ,脊椎動物には,4つのMyoDファミリーが存在することが明らかになった。
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