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白血病の分化誘導療法
木崎 昌弘
1
1慶應義塾大学内科
キーワード:
分化誘導
,
All-trans retinoic acid
,
APL
Keyword:
分化誘導
,
All-trans retinoic acid
,
APL
pp.75-76
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901403
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- 文献概要
白血病の病因や病態にはいまだ不明の点が多々存在するが,造血幹細胞が腫瘍性転換の結果,機能的に成熟した細胞に分化できず,さまざまの分化段階に停止した自律増殖能を有する細胞集団ととらえることができる1).従来,白血病の治療はその異常な増殖性に注目し,抗癌剤を用いてtotalcell killの概念のもとに行われてきた.しかし,病める者にとって,その副作用は深刻かつ重大であり,骨髄抑制によってもたらされる感染症,出血などの合併症が致命症になることもしばしばである.さらにこれらの抗癌剤に抵抗性を示す難治性白血病は,抗癌剤治療の限界を示すものである.
このような背景のなかで,多くの白血病細胞株が樹立され,血液細胞の産生調節機構が明らかになるにつれ,in vitroにおいてこれら白血病細胞が種々の薬剤によって分化,成熟し,その増殖能が失われることが明らかになった.さらに,近年造血幹細胞の概念が確立され,分化や増殖に必要とされる造血因子やそのレセプターが明らかにされ,それらのcDNAのクローニングが進んでいる.これらの事実は,白血病細胞の分化誘導による治療の可能性を示唆し,分化誘導療法の基礎的,臨床的研究の展開を推進し,特に分子レベルでのメカニズムの解明を可能にするものである.
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