特集 現代医学・生物学の仮説・学説
1.細胞生物学
細胞増殖
市原 明
1
1徳島大学酵素科学研究センター
pp.438-441
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900602
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概説
生物の基本単位は細胞であり,細胞が分裂増加することが生物と無生物との明確な違いであり,これで子孫を増加させるという生存の基本機構を営んでいる。またこれが成長,修復,分化そして癌化などと関連して,現在分子細胞生物学の中心研究課題となっている。しかしここでは,自分が経験した肝臓再生研究から考えたことを述べたい。またこの特集の趣旨からして独断と偏見に満ちていることもお許し願いたい1-3)。
細胞増殖機構の研究は大きく分けると,増殖分裂の形態的観察,増殖因子の同定,そのシグナル伝達経路,その遺伝子応答としての細胞分裂マシンの作用機構の研究などではないか。このうち形態変化の観察は顕微鏡の発明以来詳細に研究されているが,その分子機構研究の方は最近まで必ずしも大きく進歩したとはいえない状況である。
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