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実験講座
マウス種内異型蛋白Thy-1を用いるニューロン追跡
Neuron tracing using mouse allelic Thy-1 system
藤井 正子
1
Masako Fujii
1
1浜松医科大学第1解剖学講座
pp.66-71
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900532
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はじめに
リンパ球T細胞特異的な膜表面糖蛋白として知られていたThy-1は,その後ニューロンの膜表画にも証明された。さらに,マウスでは,マウスの種類に特有な2種のThy-1があって,Thy-1の112個のアミノ酸のうちの89番目がアルギニンであるかグルタミンであるかによって,区別されることがわかってきた12)。これは,Thy-1.1とThy-1.2と呼ばれ,前者はAKRと呼ばれる種類のマウスT細胞や脳に証明され,後者はBALB/cやC3Hなど一般的なマウスの種類にあることが知られている10)。
我々は数年来脳移植を研究題目にしてきたが,脳移植をはじめて,まず問題になる事は移植した組織をどう識別するかである。移植脳組織が特殊な神経伝達物質を持つ場合,それを指標にできるが,我々の扱っている嗅球のように,分子量の低いグルタミン酸のようなアミノ酸を伝達物質としているような遠心路をもつ系では,これを識別に使用する事は難しい。
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