話題 Cold Spring Harbor Meeting印象記
マウスを用いた分子遺伝学
三浦 直行
1
Naoyuki Miura
1
1秋田大学医学部生化学第一講座
pp.102-103
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900892
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昨年8月31日から9月4日までの5日間,米国のCold Spring Harbor研究所に,マウスを実験材料としてヒトと高等動物のあらゆる生命現象を明らかにしようとしている世界中の研究者たちが集まった。このミーティングは毎年夏に開催され,一昨年はドイツで昨年は米国で開かれた。参加者総数は400名をこす多数であり,参加申込をしても参加を許されなかった人も多数いたと聞く。現在,最もホットな研究分野の一つであり,80演題の口頭発表と190演題のポスター発表が行われた。そのカバーするテーマは遺伝学,発生工学の方法の開発,初期発生,形態形成,器官形成,神経発生,シグナルと受容体,ヒト疾病モデル,発癌というようにすべての生命現象を含んでいる。遺伝子操作の進展,ES細胞の樹立によりマウス個体を自由に扱うことが可能になった現在,マウスを実験の場としてヒトのあらゆる生命現象が解明されると期待される。全体を紹介することは不可能なので,ここでは著者の専門としている形態形成に関わる転写因子遺伝子と,発癌に関わる遺伝子を中心に述べていきたい。
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