特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅳ.筋細胞株
平滑筋細胞
ラット:A-10/A7r5
中井 麻理子
1
,
高橋 克仁
1
1大阪府立成人病センター研究所第5部
pp.499-500
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900482
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■樹立の経緯
1976年に,ソーク研究所のB. W. KimesとB. L. Brandtによって,BDIXラットの14~17日齢胎児の胸部大動脈中膜平滑筋から分離,樹立された1)。大動脈10本から外膜を剥離しミンチした後,20%FCSと2%chicken embryo extract(CEE)を含むMEM中で12%CO2存在下に培養した。60mmの培養皿にコンフルエントになった時点で酵素処理によって単離細胞浮遊液をつくり,培養皿あたり細胞数を3×105個にして蒔き直した。40~90分後およそ90%の細胞が基質面に接着したが,これを捨てて残りの浮遊細胞を新しい培養皿に移しコンフルエントになるまで20%FCSと2%CEEを含むMEM中で培養した。同様の方法で8代継代培養を繰り返した後,安定に増殖する3種のクローンを得た。線維芽細胞や内皮細胞が培養皿の基質面により速く接着するという性質を利用してこれらの細胞を筋肉細胞から分離する方法を「selective serial passage法」という。3種のクローン化された細胞株をA7r5,A9,A10と命名した。
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