特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅱ.内分泌腺細胞株
甲状腺細胞
ラット:FRTL-5
堀内 龍也
1
1群馬大学内分泌研究所薬学研究部
pp.427
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900426
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■樹立の経緯
甲状腺は濾胞構造を機能単位としており,濾胞を構成する上皮細胞は,形態的にも機能的にも明確な極性をもっている。そのために分化機能を維持した安定な細胞株の樹立は難しかった。FRTL-5はラット正常甲状腺から樹立され,分化機能を維持している貴重な細胞株である。Ambesi-Impiombatoらは,正常5~6週齢Fischerラットの細切甲状腺をコラゲナーゼとトリプシンで消化した後,ピベッティングにより細胞を単離して104~105cells/10cm Falcon dishに播いて培養した。生じた上皮細胞のコロニーをクローニングシリンダーを用いて継代した。培養液を種々検討した結果,Ham's F-12の変法であるmF 12に6種のホルモン〔10μg/ml insulin,10nM hydrocortisone,5μg/ml transferrin,10ng/mlglycyl-L-histidyl-L-lysine acetate,10ng/ml somatostatin,10mU/ml thyrotropin(TSH)〕を加えた培養液(mF12+6H)を基本培養夜とし,これに0.5%という低濃度の仔ウシ血清を加えて培養した。この方法により線維芽細胞の増殖を押さえることができ,しかも上皮細胞は濾胞構造を再構成し,機能的にも甲状腺細胞としての分化機能をよく維持することができた。
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