Japanese
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特集 遺伝マウス・ラット
総説
黄疸ラット
Jaundice rat
沢崎 嘉男
1
Yoshio Sawasaki
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所遺伝生化学教室
pp.389-395
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903147
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はじめに
新生児の重症黄疸の際,神経系がとくに障害を受け,重篤な神経症状や知能障害を引き起こすことは,核黄疸(bilirubin encephalopathy)として知られ,Rh不適合などの場合に問題となる。このようなbilirubinの選択的な神経細胞毒性に関しては古くから研究されているが6,16,20),その機序については未だ明らかではない。しかし,方法論的にみれば,本来この領域は大きな利点に恵まれていたはずであつた。というのも,他の疾患とは異なり,当初から高bilirubin血症のモデル動物が存在していたからである。ところが,この黄疸ラット—Gunnラット—は知名度が低く,最近まで利用されることが少なかつた。
Gunnラットは,1934年Gunnによつて発見された常染色体劣性遺倭性の高bilirubin血症を呈するWistarラットのmutantである11)。その病因は長く不明であつたが,1950年代後半のbiiirubin代謝の解明に伴い,肝臓のbilirubin排泄酵素,UDP-glucuronyltransferaseの遺伝的欠陥にあることが報告された18,25)。すなわち,ヒトのCrigler-Najjar症候群にあたる変異である。
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