特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅲ.間葉系細胞株
骨細胞
ヒト骨肉腫:HOS
細井 孝之
1
,
大内 尉義
1
,
折茂 肇
1
1東京大学医学部老年病学教室
pp.461
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900451
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■樹立の経緯
HOSとはhuman osteosarcomaの頭文字をとったものであり,文字どおりヒトの骨肉腫由来の細胞株である。
この細胞株は1971年McAllisterらによってその樹立が報告された1)。その由来は,13歳白人女児の大腿骨遠位端に発生した骨肉腫であり,この細胞株は病変部の生検サンプルをもとに樹立された。患児は下肢の外科的切断,放射線療法,化学療法にもかかわらず生検の約3ヵ月後に死亡している。剖検はなされていない。切断された下肢には生検で得られた標本と同様の病理所見をもつ腫瘍が確認された。腫瘍細胞はしばしば複数の核小体を包含し,濃染する核を持つ紡錘形もしくは多角形の細胞であった。病理組織上はosteogenic sarcomaに特徴的な石灰化を伴った骨基質,類骨組織,線維性および血管性の間質が混在した所見を呈していた。
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