特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅰ.上皮細胞株
泌尿生殖器系上皮細胞
子宮上皮細胞
ヒト子宮内膜癌:Ishikawa
佐治 文隆
1
1大阪大学医学部産科婦人科学教室
pp.411
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900413
- 有料閲覧
- 文献概要
■樹立の経緯
ヒト子宮内膜癌細胞株も他の悪性腫瘍細胞株同様に単一の腫瘍細胞株が不変的にすべての子宮内膜癌の特徴を備えているわけではない。とくに子宮内膜癌では各種ステロイドホルモンレセプターの有無が腫瘍の増植・分化と関連している可能性があり,性格の異なった細胞株がより多く樹立されることが,腫瘍の臨床研究のみならず,子宮内膜細胞の機能の基礎的検討にも貢献すると考えられる。
このような目的でIshikawa株は西田正人らによって樹立された1)。本細胞株の起源は子宮体癌患者(39歳)の手術時摘出子宮の腫瘍組織であり,患者名をとってIshikawa株と命名された。腫瘍は大部分が高分化型管状腺癌で,一部に低分化な部分や扁平上皮化生を伴った部分がみられていた。
Copyright © 1992, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.