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特集 高速分子動画:動的構造からタンパク質分子制御へ
Ⅶ.ケミカルバイオロジー:タンパク質の分子制御へ向けて
動的構造情報に基づく受容体タンパク質活性制御法の開発
Development of methods for regulating receptor function using structural information
原 隆史
1
,
堂浦 智裕
1
,
清中 茂樹
1
Hara Ryuji
1
,
Doura Tomohiro
1
,
Kiyonaka Shigeki
1
1名古屋大学大学院工学研究科生命分子工学専攻
キーワード:
GPCR
,
動的構造変化
,
ケモジェネティクス
,
代謝型グルタミン酸受容体
,
化学遺伝学
Keyword:
GPCR
,
動的構造変化
,
ケモジェネティクス
,
代謝型グルタミン酸受容体
,
化学遺伝学
pp.269-274
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201865
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特有の生理活性物質で活性化される細胞膜受容体は,動物の様々な生理機能を担う。近年の構造生物学技術の大幅な進展により,受容体タンパク質の構造が解明され,生理活性物質や阻害剤との結合様式のみならず,受容体の活性化時に伴う動的な構造変化すら明らかになりつつある。一方,受容体の生理機能解明に関しては,細胞レベルではかなり解明されてきたが,動物個体レベルではまだ発展途上と言える。その理由として,同一の受容体もしくは類似する機能を持つ受容体サブタイプは複数の組織に存在するが,組織ごとに受容体が担う生理機能が異なることが挙げられる1)。したがって,標的とする受容体の活性を細胞種や組織選択的に制御するツールの開発が生体機能を紐解くうえで重要であり,それを実現する技術として化学遺伝学(ケモジェネティクス)と呼ばれる手法が注目されている。本稿では,ケモジェネティクスの研究進展,および受容体の分子構造情報や動的構造変化を利用した筆者らの新たなケモジェネティクス手法を紹介する。
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