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「特集 高速分子動画:動的構造からタンパク質分子制御へ」は,われわれの新学術領域「高速分子動画法によるタンパク質非平衡状態構造解析と分子制御への応用」の5年間の成果をまとめたものです。“高速分子動画”の構想は単純明快で,“百聞は一見にしかず”という事実を更に時間軸方向に展開したものです。筆者が構造生物学者になった理由は,どんなに間接的な証拠を積み上げても直接分子をみるのにはかなわないと思ったからです。そして,それは分子の動きに関しても全く同じであり,それが“高速分子動画”の基本的なコンセプトです。「分子の動きを原子分解能で実際のタイムスケールでみる」ということができればよいと誰もが思うことですが,X線自由電子レーザーの10fs程度の非常に強力なパルス光源を用いて分子を直接ストロボ撮影できる技術により,初めて可能となりました。しかし,現時点ではこの方法を用いて分子の動きを追跡するためには,結晶にしなければならない,光によって反応を開始させなければならない,など数々の制限があります。
本研究領域の第一の目標は,“高速分子動画”法からこれらの制限をできるだけ取り除き,より多くの生体高分子観察に適用できる普遍的な方法として確立することです。そのために,ビームラインのエンジニアリング,タンパク質工学,ケミカルバイオロジーなどの技術を最大限に活用していきます。そして第二の目標は,その結果を新しい生体高分子の制御法の開発に活かしていくことです。実際に観察された“高速分子動画”を計算科学や分光学の手法を用いて定量的,理論的に理解します。これを基に新しい機能性タンパク質や生体高分子を制御できる新規化合物などを創生することにより,イメージング,光遺伝学,光薬理学といった幅広い分野に貢献したいと考えました
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