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特集 未病の科学
Ⅰ.未病の数理研究
多階層ウイルス感染動態の数理モデリングとデータサイエンス
Multi-scale model based data science for virus infection dynamics
岩波 翔也
1
,
岩見 真吾
1
Iwanami Shoya
1
,
Iwami Shingo
1
1名古屋大学大学院理学研究科理学専攻異分野融合生物学研究室
キーワード:
多階層数理モデル
,
データサイエンス
,
ウイルス動態
Keyword:
多階層数理モデル
,
データサイエンス
,
ウイルス動態
pp.112-117
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201654
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ウイルス感染は多階層で高次元なシステムとして成り立っている。つまり,トランスクリプトーム,プロテオーム,メタボローム,細胞,組織,臓器,個体など,様々な階層の階層内および階層間の動的な相互作用によって形成される。そしてウイルスは,感染現象の全般をダイナミックに制御している。標的となる細胞に感染したあと,短期的には細胞内でウイルスゲノムを複製し,中期的には細胞間での子孫ウイルスを伝播し,長期的には宿主免疫応答との相互作用を介して,ウイルス増殖をコントロールしている。そのため,ウイルス感染を真に理解するためには,様々な階層を特徴づけるデータを多階層的に解析する必要がある。本稿では,“細胞内”のウイルス複製と“細胞間”のウイルス感染を階層ごとに定式化し,それらを統合することで“細胞内・細胞間”の階層をまたぐウイルス増殖を年齢構造偏微分方程式により定式化する。そして,代表的な2つのHCV株を用いて感染実験を実施し,得られた異なる階層の実験データを多階層数理モデルで分析する1)。
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