Japanese
English
特集 細胞機能の構造生物学
Ⅱ.細胞膜
胃の酸性化の分子メカニズム
Molecular mechanism of the gastric acidification
阿部 一啓
1,2
Abe Kazuhiro
1,2
1名古屋大学細胞生理学研究センター
2名古屋大学大学院創薬科学研究科
キーワード:
胃
,
P型ATPase
,
膜タンパク質
,
X線結晶構造解析
Keyword:
胃
,
P型ATPase
,
膜タンパク質
,
X線結晶構造解析
pp.310-314
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201181
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食物消化時の胃の中は強い酸性である(pH 1)。細胞内溶液が中性(pH 7)であることを考慮すると,この状況は実に100万倍のH+濃度勾配に相当する。これは胃プロトンポンプが“酸”の実体であるH+を能動輸送することで作り出されている。ヒトの遺伝子にはカチオン輸送体が数多くコードされているが,われわれの体には,胃のほかにこれほど酸性度の高い,もしくは急峻なカチオンの濃度勾配を持った組織は存在しない。胃プロトンポンプは,どのようにして強い酸性溶液を作り出しているのであろうか? 胃プロトンポンプの複数の結晶構造によってそのしくみが明らかになってきた1)。
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