今月の主題 臨床検査における標準物質
各論
微生物学分野での標準物質
本田 武司
1,2
,
余 明順
2
,
相原 雅典
3
Takeshi HONDA
1,2
,
Myonsun YOH
2
,
Masanori AIHARA
3
1大阪大学微生物病研究所細菌血清学部門
2大阪大学微生物病研究所菌株保存施設
3天理よろづ相談所病院臨床病理部
キーワード:
微生物
,
標準菌株
,
精度管理
,
薬剤感受性検査
,
菌株保存機関
Keyword:
微生物
,
標準菌株
,
精度管理
,
薬剤感受性検査
,
菌株保存機関
pp.789-795
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914018
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臨床検査の精度をあげ,また各検査室間での検査成績のバラツキを防ぐためにも,臨床検査の現場では種々な標準物質が用いられている.現今の臨床検査はさまざまな分野に分かれていいるが,これらの中で微生物検査は,検査成績を保証する検査法そのものの標準化や精度管理法の体系化がもっとも遅れた分野で,唯一ともいえる標準物質は,標準菌株(type strain)である.高い精度での分離菌の菌種同定に標準菌株は不可欠であり,日常検査における各検査室での技術や検査機器システムに問題のないことをこれらの菌株を用いて常日頃から確認する努力が,検査精度を高めるために必要である.また,分離菌の同定のみならず,薬剤感受性試験にも指定された標準菌株があり,これらを用いて検査精度を高めるべきであろう.必要な標準菌株の一部は市販されているし,また,国内.国外には多くの菌株保存機関があり,それらから標準となる菌株の入手も可能なので,これらのシステムをおおいに活用すべきである.臨床検査室での精度管理を根づかせるためには,やみくもに理想を求めるのではなく,入手可能な必要最小限の標準物質(菌株)を用いて,ともかく検査精度の管理をスタートさせるべきであろう.
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