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実験講座
新しい技術─電界撹拌装置「ヒスト・テック®R-IHC®」による免疫組織化学染色の原理および臨床・研究応用への展開
Novel method of rapid immunohistochemistry based on alternating current electric field(Histo-Tek®R-IHC®)and its application for clinical and research field
森谷 純
1
,
谷野 美智枝
1
,
津田 真寿美
1
,
田中 伸哉
1
Moriya Jun
1
,
Tanino Michie
1
,
Tsuda Masumi
1
,
Tanaka Shinya
1
1北海道大学大学院医学研究科病理学講座腫瘍病理学分野
キーワード:
電界撹拌技術
,
迅速免疫染色
,
術中迅速病理診断
,
細胞診
,
活性型Rac
Keyword:
電界撹拌技術
,
迅速免疫染色
,
術中迅速病理診断
,
細胞診
,
活性型Rac
pp.365-370
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200648
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1967年にNakaneらがHRP(horse radish peroxidase)を抗体に付けて,酵素反応により可視化する方法を開発1)したことを皮切りに,1980年代に病理診断の現場に免疫染色が取り入れられ,現在では必要不可欠なものとなっている。免疫染色の自動化が進み,その所要時間は通常約2-3時間で,それ以前の“手染め”に比べ格段に時間と手間が軽減された。術中迅速病理診断時にも免疫染色の応用が期待されたが,そのクオリティーは決して満足すべきものではなかった。迅速に免疫染色を行うため,抗体濃度は通常希釈濃度と比較し高濃度にする必要があり,コストパフォーマンスの悪さも懸念されていた。マイクロウェーブや超音波などを用いる方法など様々なものが提案されてきた2-4)が,いずれも医療現場に広く普及するものではなかった。このようななか,2014年5月に迅速免疫染色(rapid immunohistochemistry;R-IHC)が可能な電界撹拌技術を搭載した装置ヒスト・テック®R-IHC®,通称ラピートが発売された(図1A)。本稿ではその原理,利点,診断,研究への応用について概説する。
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