Japanese
English
特集 時間生物学の新展開
ヒト睡眠の調節機構
Systems regulating sleep in human
内山 真
1
Uchiyama Makoto
1
1日本大学医学部精神医学系
キーワード:
概日リズム
,
睡眠恒常性維持
,
ポジトロンCT
,
超短時間睡眠覚醒スケジュール法
,
オレキシン
Keyword:
概日リズム
,
睡眠恒常性維持
,
ポジトロンCT
,
超短時間睡眠覚醒スケジュール法
,
オレキシン
pp.546-549
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200549
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Ⅰ.脳を休ませるしくみ
睡眠は環境によりよく適応するため,生物が進化の過程で獲得してきた行動的休息である。20世紀半ばまで,睡眠は上行性網様態賦活系を主とする覚醒機構が疲労して,受動的に活動低下に陥った状態と考えられてきた。その後,レム睡眠の発見に始まる睡眠科学の発展により,睡眠は脳の一様な活動低下ではなく,レム睡眠,ノンレム睡眠はそれぞれ異なった能動的休息過程であることがわかり,そのメカニズムが次第に明らかになってきた1)。これまでの知見をまとめると,睡眠調節には三つのシステムが働いている。第一は,睡眠恒常性維持機構,脳の疲労に応じて睡眠を発現するシステム,第二は体内時計機構,つまり夜になると睡眠を発現させるシステム,第三に,覚醒保持機構,覚醒が必要とされるときには睡眠を抑えるシステムである2)。本稿では,この三つのシステムについて生理学的観点から述べる。
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