Japanese
English
特集 時間生物学の新展開
末梢概日時計システム
Peripheral clocks in mammals
八木田 和弘
1
Yagita Kazuhiro
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科統合生理学
キーワード:
末梢時計
,
同調
,
entrainment
,
階層性制御
Keyword:
末梢時計
,
同調
,
entrainment
,
階層性制御
pp.522-526
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200544
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“末梢時計”は,主として哺乳類概日時計研究から生まれてきた概念である。哺乳類の“中枢時計”である視交叉上核に対する,それ以外の組織・細胞に備わっている概日時計のことを指す。つまり,たとえ中枢神経系であっても,視交叉上核以外は中枢時計によって調律される“末梢時計”ということになる。哺乳類の概日リズムは,視交叉上核を破壊することで個体レベルの生理機能リズムが消失することが古くから知られており,視交叉上核が概日リズムの中枢で,末梢臓器のリズムを支配しているという概念が確立されていた。そのため,他の生物種と比較しても“中枢”と“末梢”という区別がより明確であったことが,哺乳類において“末梢時計”というカテゴリーが生まれてきた理由の一つと考えられる。
ただ,現在では広く受け入れられている末梢時計という概念であるが,その歴史はそれほど古いものではない。末梢時計の概念確立には,1997年の哺乳類における時計遺伝子の同定が深くかかわっている。しかし,それ以前にも視交叉上核以外の組織における概日リズム解析の研究があり,それらの知見の蓄積があったからこそ,その上に末梢時計の概念が速やかに体系化されたと言える。
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