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あとがき
野々村 禎昭
pp.614
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200363
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自然科学の学問,研究は平和な時にのみに行われます。我々は戦後70年間憲法9条に守られ,これが当たり前のように学問研究を続けてきました。しかし今,突然憲法違反とも指摘される法律の登場で危険な状況になってきました。学問,研究を続けるためにも我々は守るべきものは守らねばなりません。一方,世界的にはヨーロッパは大変な状況におかれています。イラク,シリアで起こっている戦闘状態のため数十万の難民がヨーロッパに流れ込んでいます。これが続けば経済的にEUは破綻してしまうかもしれず,学問,研究は続けられません。幸い中近東,アフリカから離れている我々にとって,今回の難民問題はヨーロッパに比べればその影響は大きくありません。守るべきものを守れという声を上げつつ学問,研究に打ち込んで行く時です。
本号の特集は「グリア研究の最先端」を取り上げました。ご自身の研究がグリア領域で最先端を行く九州大学薬学部井上和秀教授にお願いして,最新のテーマと著者を考えていただきました。同教授が冒頭の「特集によせて」に書かれている研究の歴史にあるように,ニューロンの付属物であったグリアがやがてニューロンとグリアの相互作用となり,それがグリア同士のネットワークが脳神経作用の中核になっていく様子が,そして疾患とも関係していくことが多くの著者の記述から読み取れます。それは合衆国で2年おきに行われているGordon Research ConferenceのGlial Biology(本特集の著者の多くも活躍されています)の内容もこのような過程をとっています。
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