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あとがき
野々村 禎昭
pp.614
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101401
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リンパ管は生体内では重要な役割を果たしているのにもかかわらず,可視しにくいということ,また研究者数も少ないこともあって,研究の進歩が親戚ともいえる血管と比べて非常に遅れていた。事実,合衆国のゴードン会議にリンパ管のセクションができたのも2000年代に入ってからである。
本特集号は,そのようなわが国の数少ないリンパ管研究者に依頼して健筆を奮っていただいた。平島先生には数回開かれたゴードン会議の中から最新の動向を書いていただいた。これで情報の少ないこの領域の最近の様子が理解できる。大谷先生にはリンパ管形態学の現状を歴史的に書いていただいた。リンパ管研究は最近までは形態学が中心だったので研究史を概観できる。リンパ管の形成,新生,再生はリンパ管研究の大きな問題なので,平島,平川,馬嶋,吉松,渡部,大橋ほかの諸先生にはそれぞれの立場からこの問題を扱っていただいた。磯貝,下田先生にはリンパ管起源の研究史を詳しく書いていただいた。リンパ管形成には特に大事な腫瘍形成との関連を書いていただく予定が間に合わず,残念であった。本号が,現在のわが国で読めるリンパ管研究の最高の総説集になったことは喜ばしく,ご執筆の先生方に改めて感謝したい。
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