--------------------
あとがき
野々村 禎昭
pp.150
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101277
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
RNAi(RNA干渉)は1998年FireとMelloらによって線虫で発見され,2006年二人はノーベル医学生理学賞を受賞した。発見から8年であり非常に早いが,それだけ期待度は高かったということであろう。実際には2001年,哺乳類細胞でsiRNA(低分子干渉RNA)が導入されたことによって飛躍的に進歩し,広範囲の応用が期待された。この前提にアンチセンスRNAの発見,利用があった。この辺のところは本特集の何編かで序文に述べられている。正直に言ってRNAiの応用の成功例は細胞レベルでは華々しいが,ヒトの臨床レベルでは最初期待されたほど多いわけではない。しかし本特集では,国内でRNA干渉に取り組んでおられる研究者の方々に,特に臨床方面での応用成果を書いていただいた。また,現実的には標的に核酸物質を送り込むdeliveryの問題も大事である。この観点からも何人かの方に書いていただいた。
東日本大震災から一年になろうとしている。危惧したように科学研究費関係の予算は厚労省関係では減額が問題になっている。全体としても,あまり基礎的な問題は軽視される傾向が強くなってきている。このような時期では仕方ないかもしれないが,われわれも手をこまねいているのではなく,RNA干渉という最も基本的な問題が実際に役立とうとしているという観点から本特集を編集した。書きにくいところを協力していただいた方々に感謝します。
Copyright © 2012, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.