増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅱ.機能からみたシグナル操作法
1.遺伝子・ゲノム
エピジェネティック調節(DNAメチル化)
鵜木 元香
1
,
佐々木 裕之
1
Unoki Motoko
1
,
Sasaki Hiroyuki
1
1九州大学生体防御医学研究所エピゲノム制御学分野
キーワード:
DNAメチル化
,
バイサルファイト反応
,
5-アザシチジン
Keyword:
DNAメチル化
,
バイサルファイト反応
,
5-アザシチジン
pp.474-475
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200314
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エピジェネティック調節とはクロマチン構造の制御を介して遺伝子発現を調節する機構のことである。代表例として,DNAメチル化とヒストン修飾があるが,ヒストン修飾については次項を参照されたい。この項で扱うDNAメチル化は,CG配列内のシトシン(C)の六員環の5位の炭素原子にメチル基を付加し,5-メチルシトシン(5mC)を生成する反応を指す(図)。この修飾を新規に導入する酵素がDNMT3AおよびDNMT3Bで,発生過程で細胞系譜特異的なメチル化パターンを構築する1)。いったん構築されたメチル化パターンは,DNMT1とその補助因子UHRF1が維持する。DNA脱メチル化は,TETタンパク質による5mCの酸化によって生成される5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)(図)が,DNA複製の際にDNMT1/UHRF1複合体によって維持されず受動的に起こるか,塩基除去修復機構によって能動的に除かれることによって起こる。一般的に,遺伝子のプロモーター領域のメチル化は転写因子の結合を阻害したり,メチル化DNA結合ドメイン(methyl-CpG-binding domain;MBD)を持つタンパク質複合体に認識されることによって,転写抑制的な状態を作り出し,エクソン領域のメチル化は,転写が活発な遺伝子で認められる(図)。
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