Japanese
English
特集 脳と心の謎はどこまで解けたか
恐怖と不安─脅威に対する動物の適応行動選択とその克服
Fear and anxiety:choice of adaptive behaviors to overcome them
相澤 秀紀
1
,
崔 万鵬
1
,
田中 光一
1,2
Aizawa Hidenori
1
,
Cui Wanpeng
1
,
Tanaka Kohichi
1,2
1東京医科歯科大学難治疾患研究所分子神経科学分野
2東京医科歯科大学脳統合機能研究センター
pp.29-32
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200099
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動物が外界の環境に適応し生き残るためには,不快な経験を記憶し予期することを可能にする神経機構が不可欠と考えられる。恐怖や不安は,危険,脅威および葛藤などにより惹起される情動であり,回避や無動などの適応行動を引き起こす。これらの情動は過去の経験を基に行われる価値判断という側面を持ち,最適な行動選択を行ううえで有用なだけでなく,あらゆる動物の生存に必須のものと考えられる。
恐怖と不安は共に不快であるものの,異なった要因が引き金となる情動として理解されている。恐怖は差し迫った脅威や特定の危険事象に対して起こる情動であり,切迫の度合いや回避の可能性に応じて逃避や無動などの行動を選択する。一方,不安は不特定の潜在的な脅威や危険性に対して引き起こされる情動で,大胆な行動を控えたり危険に備えて警戒態勢の強化を引き起こす1)。
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