Japanese
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特集 脳と心の謎はどこまで解けたか
予測─大脳新皮質のベイジアンフィルタ仮説
Prediction:a Bayesian filter hypothesis of the cortical microcircuit
船水 章大
1
,
銅谷 賢治
1
Funamizu Akihiro
1
,
Doya Kenji
1
1沖縄科学技術大学院大学神経計算ユニット
pp.33-37
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200100
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われわれの脳は目,耳,鼻などへの感覚入力から自らの運動出力まで,不確実な情報から状況を予測・推定し行動を決定する。心理物理学の研究で,人間や動物の状況予測は不確実性を最適に扱うベイズ推定に従うことが示唆されている1,2)。ベイズ推定は現在の状況sの推定を,経験した感覚情報xで更新・修正する。
P(s│x)= P(x│s)P(s)/∫P(x│s)P(s)ds∝P(x│s)P(s)…(1)
ここで,P(s)は状況sがどれだけありうるかを表す事前確率,P(x│s)は状況sのもとで感覚xがどれだけ起こりうるかに応じた尤度,P(s│x)はその両者の統合による状況sの事後確率を表す。式1は,単一の感覚情報による推定だが,実世界では時々刻々と得られる感覚情報をもとに,変化する状況を予測し推定することが重要である。これは逐次的な推定様式を持つ,ベイジアンフィルタ(Bayes filter)で実装できる2)。
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