増大特集 生命動態システム科学
Ⅰ.定量生物学
1.分子・細胞の計測
5)転写制御
(2)インスレーターとクロマチン構造
坂本 尚昭
1,2
,
粟津 暁紀
1,2
Sakamoto Naoaki
1,2
,
Awazu Akinori
1,2
1広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻
2核内クロマチン・ライブダイナミクスの数理研究拠点
pp.412-413
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200015
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■遺伝子発現制御とインスレーター
ゲノムDNAが保持している遺伝情報は,細胞内では折り畳まれてクロマチン構造を形成しており,さらに高次に折り畳まれることにより染色体が形成される。ゲノムDNA上には多数の遺伝子が並んで存在し,個々の遺伝子は固有の遺伝子発現パターンを持つ。
遺伝子の転写は,シスエレメント(エンハンサーやサイレンサー)の作用により制御される。一般的にエンハンサー作用はプロモーターからの位置・距離・方向に依存しないが,隣接する二つの遺伝子間にはインスレーターと呼ばれる境界配列があり,エンハンサーからの不適切な活性化シグナルはインスレーターの作用によりブロックされる(図A)1)。インスレーターが持つこのような活性を“エンハンサー遮断活性”と呼ぶ。
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