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連載講座 細胞増殖・8
サイクリン依存性キナーゼ5の活性制御機構と神経細胞死における役割
Cyclin-dependent kinase 5 and it's role in neuron cell death
斎藤 太郎
1
,
久永 眞市
1
Saito Taro
1
,
Hisanaga Shin-ichi
1
1首都大学東京 理工学研究科 生命科学専攻
pp.266-270
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101621
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サイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase;Cdk)は真核生物の細胞周期のエンジンとして働くプロテインキナーゼである。増殖細胞ではDNA損傷やDNA複製,染色体分配などの異常によりゲノムが維持できなくなると,エンジンであるCdkは活性化されず細胞周期の進行が停止し細胞死が誘導される。一方,分化して増殖しない神経細胞では増殖にかかわるCdkの発現はなくなり,細胞周期は停止するが,Cdkファミリーの一つCdk5が発現し,多様な神経機能の制御にかかわるようになる。様々なストレスはCdk5を異常活性化し,神経細胞死を誘導する。このような神経細胞死の過程ではCdkを含む細胞周期装置が再活性化し,あたかも細胞周期へのリエントリーとも言える現象を介して細胞死が進行する。
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