今月の主題 血栓症とDIC
止血機序と血栓形成機序
細胞依存の線溶機構
高橋 敬
1
1島根医科大学第1生理学
pp.1250-1254
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905168
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ポイント
●膜シート:生体構造は内・外・中胚葉由来の連続した膜シートが変形(陥没・分離・融合)することによってできあがっている.入れ子構造のようにシートのなかにシートが入り込んでおり,表と裏が融合したり分離したりしない(表裏の原則).細胞レベルでも細胞膜の内・外や細胞内小器官の内・外は表裏の原則にしたがっている.
●膜ドメイン:脂質2重層を基本とした細胞膜には様々な蛋白質が挿入されているばかりでなく,特定の機能発現のために局在している.このような膜の部分領域を膜ドメインと呼ぶ.接着斑やインベードポデイアはプロテアーゼが機能するための場といえる.
●接着斑:細胞どうしや,細胞と基質が接触する部位は細胞のベントラル(腹側)が突出したような形態をもち,反射干渉色の波長から10〜15nmの間隙が存在する.移動する細胞の前方(リーディングエッジ)で形成され,後方(トレイリングエッジ)で消失する.細胞外マトリックス蛋白質(ECM)と接着因子受容体であるインテグリンや細胞内骨格系蛋白質との連絡部位でもある.その構造や機能は細胞依存の線溶機構(フィブリン分解,マトリックス破壊,浸潤など)に深く関連している.
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