特集 器官の発生と再生の基礎
特集「器官の発生と再生の基礎」によせて
藤田 道也
1
1浜松医科大学
pp.190
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101606
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動物の体細胞から新しい未分化細胞iPSCが人工的に作製されるようになりました。この特集を企画した当時は連日のように器官の再生の成功例と将来のヒトへの応用の見通しなどがメディアを賑わしていました。それが少し下火になったと思ったら,STAP細胞旋風が突如として吹き荒れ,現在は暴風一過のあとの凪が訪れています。現在他人の論文のあら捜しとメディアによる論文叩きが新しい不安定な状態を醸し出しているかに見えます。
それはともかくとして,iPSCが新薬の開発に重要な役割を果たすことは間違いありません。しかし,人々のより大きい期待は器官の再生に向けられていることは当然です。現在,iPSCの作製は時間がかかり,成功効率も悪いとされています。たとえそうであったとしても,それから誘導された組織を拒絶反応の危惧なしに宿主に戻すことができるという意義は大きいと言えます。
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