増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:7回膜貫通型◆受容体の遺伝子:GPR119
G蛋白質共役型受容体119(GPR119)の組織発現と創薬の展望
冨田 努
1
,
細田 公則
1,2
,
小鳥 真司
1,3
,
藤倉 純二
1
,
中尾 一和
4
Tomita Tsutomu
1
,
Hosoda Kiminori
1,2
,
Odori Shinji
1,3
,
Fujikura Junji
1
,
Nakao Kazuwa
4
1京都大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科
2京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系
3国立病院機構 京都医療センター 糖尿病センター
4京都大学大学院医学研究科 メディカルイノベーションセンター
pp.412-413
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101491
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近年,リガンドが不明なオーファン受容体として同定されたG蛋白質共役型受容体119(GPR119)が細胞内cAMP濃度上昇と関連し,膵島でインスリン分泌増強に関与する可能性が報告された。さらに,GPR119のリガンドが内因性脂質であるオレオイルエタノールアミド(OEA)であると報告され,OEAは摂食抑制との関連が知られていたことから,GPR119の臨床的意義が注目されてきた。GPR119は膵臓,消化管の内分泌細胞で高発現が示唆され,インスリンおよびインクレチンなどの分泌増強を介した機構を想定して,糖尿病・肥満治療での新規標的として種々のGPR119アゴニストが開発されつつある。GPR119は,近年臨床応用されたインクレチン関連薬の標的,グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP1R)と同様にGs共役型受容体だが,GLP1Rとは違い経口可能な低分子アゴニストの開発が容易と考えられている。本稿ではGPR119の遺伝子発現を中心に論じ,さらにその機能,低分子GPR119アゴニストの薬理作用の知見を紹介したい。
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