増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:7回膜貫通型◆受容体の遺伝子:GPR40(FFAR1)
長鎖脂肪酸受容体GPR40(FFAR1)とその機能
徳山 尚吾
1
Tokuyama Shogo
1
1神戸学院大学薬学部 臨床薬学研究室
pp.410-411
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101490
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●GPR40(FFAR1)とは
遊離脂肪酸(free fatty acids;FFAs)は,生体にとってエネルギー産生や細胞膜構成成分として必須の栄養素であり,細胞内の様々な機能調節におけるシグナル分子としても重要な役割を果たす。近年,オーファンG蛋白質共役型受容体(G protein-coupled receptor;GPCR)のリガンド探索によって,FFA受容体(FFA receptor;FFAR)ファミリーの存在が明らかになってきた。これらの受容体の中で,GPR41(FFAR3)およびGPR43(FFAR2)は短鎖脂肪酸によって活性化され,GPR84は中鎖脂肪酸によって活性化される。さらに,GPR40(FFAR1)およびGPR120は食餌由来の脂質から取り込んだ中鎖と長鎖の脂肪酸に対して高い親和性を示し,それらが結合することによって活性化される7回膜貫通型のGPCRの一つである1)。GPR40(FFAR1)は膵臓β細胞に高発現しており,インスリン分泌を調節することが明らかになっており,脂肪酸シグナルの新しいターゲット因子として糖脂質代謝の恒常性維持あるいは糖尿病,脂質代謝異常における生理的・病態生理学的役割が注目されている2)。一方,GPR40(FFAR1)は末梢部位に加え,中枢部位においても幅広く発現していることが,ヒトやサルを用いた実験で確認されており,神経新生や記憶に関与するとの報告がある。われわれもGPR40(FFAR1)がマウスの脳内各部位において存在することを明らかにし,GPR40(FFAR1)を介した新たなる疼痛制御機構についての検討を加えている。
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