増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:7回膜貫通型◆受容体の遺伝子:CCR7, CXCR4
ケモカイン受容体の協働作用による効率的なリンパ球移動の誘導
小林 大地
1
,
宮坂 昌之
1
,
早坂 晴子
1
Kobayashi Daichi
1
,
Miyasaka Masayuki
1
,
Hayasaka Haruko
1
1大阪大学医学系研究科 免疫学フロンティア研究センター
pp.398-399
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101484
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ケモカインは間質細胞,血管内皮細胞,上皮細胞,神経細胞,白血球などの種々の細胞から産生される低分子量塩基性分泌タンパク質であり,サイトカインの一種である。ケモカインは7回膜貫通型Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor;GPCR)を介して細胞内にシグナルを誘導する。特定のケモカインは特定のケモカイン受容体に選択的に結合し,ケモカインとケモカイン受容体の組み合わせにより,細胞応答性が調節される。免疫細胞や周囲の組織が発現するケモカインは恒常状態や炎症状態における免疫組織への免疫担当細胞動員調節に重要な役割を果たす。
ケモカインの中ではCCL19,CCL21,CXCL12の三つがリンパ節および小腸パイエル板の特殊な血管である高内皮細静脈(high endothelial venule;HEV)の周囲や二次リンパ組織実質内に発現1)し,血管系から二次リンパ組織へのリンパ球移動に中心的な役割を果たす。CCL19/21はHEV内皮細胞を含むリンパ節のストローマ細胞により産生され,リンパ球に発現する受容体CCR7に結合する。一方,CXCL12はリンパ節の種々のストローマ細胞で産生され,リンパ球に発現するCXCR4に結合する。CCL19/21が二次リンパ組織で欠損するplt/pltマウスやCCR7欠損マウスでは,二次リンパ組織内でのT細胞減少や局在異常がみられる。CXCR4を欠損したリンパ球ではCCR7リガンド非存在下におけるリンパ節への移動効率が低下する1)。
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