特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
6.ファゴソーム
選択的オートファジーによるユビキチン化タンパク質の処理機構
松本 弦
1
,
貫名 信行
1
Gen Matsumoto
1
,
Nobuyuki Nukina
1
1理化学研究所 脳科学総合研究センター 構造神経病理研究チーム
pp.490-491
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101365
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●ユビキチン化タンパク質の分解機構
これまでポリユビキチン鎖は不要タンパク質をプロテアソームへ運んで分解するためのタグとして機能していると考えられてきた。通常,ポリユビキチン鎖を付加されたユビキチン化タンパク質はプロテアソームへ運ばれ,直鎖状のポリペプチドにされてから分解される。そのためプロテアソームは強固に結合した凝集タンパク質は直接分解することができない。そのようなユビキチン化タンパク質を分解するためには,マクロオートファジーシステムが使われる1,2)。マクロオートファジーは細胞質にあるタンパク質やオルガネラを非選択的にオートファゴソームで包み込み,リソソームと融合して取り込んだタンパク質を分解するシステムである。これに対し,基質選択性をもって分解すべきものをオートファゴソームに取り込んで分解する過程を「選択的オートファジー」と呼ぶ。凝集タンパク質や損傷ミトコンドリア,ペルオキシソーム,小胞体などのオルガネラ,感染バクテリアなどはこの選択的オートファジーシステムによって分解されることが知られている2,3)。
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