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連載講座 老化を考える・9
高齢者頭部外傷の特徴と転帰
The characteristics and outcome in elderly head injured patients
宮城 知也
1
,
服部 剛典
1
,
森岡 基浩
1
Tomoya Miyagi
1
,
Gohsuke Hattori
1
,
Motohiro Morioka
1
1久留米大学 医学部 脳神経外科
pp.56-61
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101260
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高齢者の頭部外傷は,その解剖生理学的特徴から青壮年とは異なった特異的な病態を示す1)。加齢とともに呼吸循環器系の生理的臓器予備力は低下し,それに加えて種々の全身合併症や既往症が増加する。頭蓋内環境においては,(1)脳のコンプライアンスが低下し,少ない外力の圧迫でも容易に挫傷や出血が生じる,(2)脳の萎縮により軽度の外力でも脳が移動し,損傷が生じやすい,(3)脳血管は硬くて弾力性に乏しく,しかも脆弱である,などの特徴を有している2)。そのため,高齢者の頭部外傷の予後は概して不良であり3-5),高齢化社会を迎えた昨今,大きな社会的問題ともいえる。そこで本稿では,高齢者の頭部外傷の特徴や転帰不良の原因を中心に解説する。
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